万博の会場で、異文化に触れるひとときは格別な体験です。
中でも注目を集めているのが、サウジアラビアのグルメブース。スパイス香る本格料理や家庭の味を再現したメニューの数々が、多くの来場者の心と胃袋をつかんでいます。
本記事では、そんな万博で楽しめるサウジアラビアご飯の魅力と、その背景にある豊かな食文化についてたっぷりとご紹介します。
万博で楽しむサウジアラビアご飯
サウジアラビアの食文化とは?
サウジアラビアは中東の中でも独特な食文化を築いてきた国であり、宗教・地理・歴史の影響を色濃く反映した料理が特徴です。
イスラム教の教えに基づいて、ハラール食品を基本とし、豚肉やアルコールは一切使用されません。
このため、すべての料理には厳格なルールと倫理観が反映されており、調理方法や食材の選定にもこだわりが見られます。
日常の料理ではクミン、カルダモン、シナモンなどの香辛料が頻繁に使われ、スパイスの香り高いご飯料理や肉料理が食卓に並びます。
食事は家族やゲストとの時間を重視し、大皿を囲んでシェアしながら味わうことが多く、「おもてなし文化」が非常に根付いています。特に祝祭や宗教的な行事においては、手作りの豪華な料理が振る舞われ、食を通じて絆を深める機会となっています。
万博でのサウジアラビア料理の特徴
万博のサウジアラビアパビリオンでは、来場者が一歩足を踏み入れただけでサウジアラビアの空気感を味わえるよう、料理を通して文化的体験を提供しています。
提供されるメニューは、伝統的な家庭料理からモダンにアレンジされたフュージョン料理まで多岐にわたり、年齢や国籍を問わず楽しめる構成となっています。
使われている食材やスパイスは、現地から直輸入されたものにこだわり、現地の調理技法を忠実に再現しています。
調理法にも細心の注意が払われており、炭火焼きや低温調理など、素材の風味を最大限に引き出す工夫がなされています。
視覚・嗅覚・味覚を同時に刺激するプレゼンテーションで、食べる前から期待感が高まる演出が施されているのも魅力の一つです。
行列必至!人気のサウジアラビア食べ物
万博のサウジアラビアパビリオンで特に行列ができるメニューとして、真っ先に名前が挙がるのが「カブサ」です。
長粒米を使用し、カルダモンやクローブなどのスパイスと共に炊き上げた香り豊かなご飯に、じっくりと火入れされたジューシーなチキンやラムをトッピングした一皿は、食欲をそそる見た目と味わいが魅力です。
続いて人気なのが「シャワルマ(中東風ケバブ)」。特製スパイスに漬け込んだ肉を回転式のグリルで香ばしく焼き、薄切りにしてピタパンに挟み、ガーリックソースや新鮮な野菜を添えて提供されます。その香りと食感のバランスに、多くの来場者が魅了されます。
さらに、「デーツ(ナツメヤシの実)」を使用したスイーツも見逃せません。シンプルに乾燥デーツを提供するだけでなく、チョコレートコーティングやナッツ入り、さらにはアートのように盛り付けられたデーツプレートなどもあり、健康志向かつ見た目も楽しめるスイーツとして大人気です。
こうした料理の数々が、サウジアラビアパビリオンに足を運ぶ理由の一つとなっています。
サウジアラビア料理の一覧
代表的なサウジアラビア料理とその魅力
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カブサ:チキンやラムとスパイスライスの定番料理。
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マッチブース:カブサに似た米料理で、地域によって味付けが異なる。
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シャワルマ:香ばしく焼かれた肉をパンに挟んで食べる軽食。
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ハリーサ:麦を煮込んで作るポリッジ状の伝統料理。
デーツやシャワルマの絶品メニュー
デーツはそのままでも自然な甘みがあり、非常に栄養価の高いスーパーフードとして重宝されています。特にサウジアラビアでは、ナツメヤシの実は古くから健康やエネルギー補給に欠かせない存在として親しまれており、おもてなしの場でも頻繁に登場します。
ナッツを詰めて一緒に食べるスタイルは、香ばしさと甘みのバランスが絶妙で、満足感の高いおやつとして人気です。
また、チョコレートでコーティングしたデーツは見た目にも華やかで、贈り物やデザートプレートとしても活用されることが多く、イベントや祝祭の場にもぴったりです。
一方のシャワルマは、スパイスでマリネされた鶏肉や牛肉をじっくりとローストし、香ばしい香りが食欲をそそる一品です。
肉の種類はもちろん、焼き方やカットの仕方によっても味や食感が変化し、それぞれに異なる楽しみがあります。さ
らに、ガーリックソースやフムス、ピクルス、タヒニソースなどをトッピングとして加えることで、味に深みと個性が生まれます。これらのソースは各家庭や地域によってレシピが異なるため、食べ比べるのも楽しみの一つです。
サウジアラビアのストリートフードの代表格であるシャワルマは、手軽さと満足感を兼ね備えた逸品として、万博でも幅広い層から支持を集めています。
家族向けの人気料理ランキング
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カブサ
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シャワルマ
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ハリーサ
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サンブーサ(中東風揚げ餃子)
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ルゲイマット(甘い揚げ団子)
地域ごとの特色ある料理
サウジアラビアは広大な国土を持ち、地域ごとに気候や文化が異なるため、それに伴って料理のスタイルもバラエティ豊かです。
西部の紅海沿岸地域では、新鮮な魚介類を使用した料理が豊富で、特にグリルフィッシュやスパイシーなシーフードスープが人気です。
海の恵みを生かしたシンプルながらも風味豊かな味わいが特徴で、レモンやクミン、パセリなどがよく使われます。
東部地域では、ペルシャ湾に面していることからイランやインドの食文化の影響を色濃く受けています。香辛料をふんだんに使ったカレー風の煮込み料理や、ターメリックやカルダモンの香りが効いた炊き込みご飯などが代表的。インド系移民の影響でサモサのような軽食もよく食べられています。
南部では標高が高く山岳地帯が多いため、野菜や豆類、山羊肉を使った煮込み料理が中心となっています。寒暖差のある気候に適した栄養価の高い料理が多く、クミンやシナモンなど温め効果のあるスパイスがよく使われます。また、サワークリームのような発酵乳製品もこの地域では一般的です。
北部地域では、遊牧民文化の影響を受けた素朴な料理が多く、味付けは塩と胡椒を基本としたシンプルなスタイルが主流です。焼いたパンとチーズ、デーツなどの保存食を組み合わせた軽食スタイルも一般的で、素材そのものの味を楽しむ食文化が根付いています。
万博で味わうサウジアラビアの特別メニュー
万博では、普段なかなかお目にかかれないサウジアラビアの贅沢な料理が多数登場します。特に注目されているのが「王族風カブサ」で、通常のカブサよりも豪華なトッピングやサフランの使用量が増し、見た目も華やかな一皿です。
また、「高級デーツの盛り合わせ」は、異なる品種のデーツをチョコレートやナッツ、ココナッツフレークなどで飾ったもので、お土産としても人気が高まっています。
さらに、万博限定の特製プレートや期間限定コースメニューも用意されており、希少なスパイスや地元でしか手に入らない食材を使った一皿が味わえる貴重な機会です。
料理人が直接サーブしてくれるパフォーマンスや、調理工程をガラス越しに見られるライブキッチンも設けられ、視覚的にも楽しめる演出がされています。来場者はまるでサウジアラビアに旅したかのような本格体験を味わうことができるでしょう。
サウジアラビア料理の食事マナー
一般的な食事の流れとマナー
サウジアラビアでは基本的に右手で食事をとるのが一般的です。
これはイスラム教において左手が不浄とされることに由来しており、右手での食事は敬意と礼儀を表す行為でもあります。手で食べる文化は今なお家庭や伝統的な場面では根強く、特に米料理やパンを使った料理では手を使って口に運ぶスタイルが主流です。
食卓に座るときには、まず「ビスミッラー(神の名のもとに)」という祈りの言葉を口にし、感謝の気持ちを込めて食事を始めます。
食後にも「アルハムドゥリッラー(神に感謝)」と祈りを捧げ、食べられることへの感謝を示すのが一般的な作法です。
大皿からシェアして食べるスタイルも多く、他人との距離を縮める役割も果たしています。また、食事中は無駄話を避け、静かに落ち着いた雰囲気で食べることが好まれます。
絶対に禁止の食べ物とその理由
サウジアラビアではイスラム教の戒律に基づいて、豚肉および豚由来の製品、アルコール飲料は一切摂取が禁止されています。
豚肉は「不浄なもの(ハラーム)」とされ、健康や信仰の観点からも避けるべきとされています。また、アルコールも理性を失わせるものとして、日常生活においても公的な場での所持・販売・飲酒が固く制限されています。
さらに、イスラム法に反する調理法(例えば動物の血を使用する料理や、イスラム式屠殺方法に反する肉)も禁忌とされます。
調味料や原材料においても動物性成分の出所が重要視されており、食の安全性と宗教的な純潔性が常に重んじられているのがサウジアラビアの食文化の大きな特徴です。
サウジアラビア料理のレシピ
家庭で作るカブサのレシピ
材料(4人前):
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玉ねぎと鶏肉を炒めてスパイスを加える。
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トマト缶と水を入れて煮込む。
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米を加え、弱火で炊く。
シンプルなデーツの使い方
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ヨーグルトに混ぜる
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チーズと一緒に前菜に
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チョコレートで包んでデザートに
本格的なシャワルマの作り方
シャワルマを本格的に作るには、まず鶏肉や牛肉をスライスしてヨーグルトベースのマリネ液に漬け込みます。
このマリネ液にはニンニク、ジンジャー、クミン、コリアンダー、パプリカ、シナモン、レモン汁、オリーブオイルなどのスパイスや調味料を混ぜ込み、深みのある味わいを演出します。肉は最低でも一晩冷蔵庫で寝かせることで、スパイスの風味がしっかり染み込み、柔らかくジューシーな仕上がりになります。
漬け込みが終わったら、肉をオーブンやグリルでじっくりと焼き上げます。グリルを使う場合は、串に刺して回転させながら焼くことで、外はカリッと中はふっくらとした理想的な食感に。焼き上がったら薄くスライスして、温めたピタパンやラップで包みます。
具材にはレタス、トマト、キュウリ、玉ねぎなどの新鮮な野菜をたっぷりと加え、フムスやヨーグルトベースのガーリックソースをかけて味にコクをプラスします。ピクルスやスパイシーソースを添えるとさらにアクセントが加わり、まさに本場の味を自宅で楽しめる一品になります。
万博での楽しみ方
サウジアラビアパビリオンの案内
伝統的な建築デザインと最先端のデジタル技術が融合したサウジアラビアパビリオンは、外観から内装に至るまで圧巻の美しさを誇ります。
建築様式はイスラム建築の意匠をベースに、現代的な素材と構造を取り入れることで、過去と未来が共存する空間が演出されています。内部には文化紹介ゾーンが設けられており、サウジアラビアの歴史、宗教、衣食住などの多彩なテーマが視覚的・体験的に学べるようになっています。
また、調理実演ブースでは、プロの料理人が本場の技法を披露しながら調理する様子を間近で見ることができ、料理の背後にある文化や風習に対する理解を深めることができます。
さらに、来場者が参加できる体験型の展示やVRによるバーチャルツアーもあり、エンターテインメント性も高く家族連れにも人気です。
食事を楽しむための時間とヒント
サウジアラビア料理は多くの来場者に人気があるため、特に昼時(11時〜13時)と夕方(17時〜19時)は混雑のピークを迎えます。
スムーズに楽しむためには、朝一番(開館直後)や15時前後のアイドルタイムを狙うのがおすすめです。
週末や祝日は来場者数が増加するため、平日の訪問がより快適です。また、料理提供スペースによっては事前予約が可能な店舗もあるので、公式サイトやアプリで事前に情報をチェックし、予約システムを活用しましょう。
フードトラックなどは回転が速いため、列があっても比較的早く順番が回ってくることもあります。余裕を持ったスケジュールで訪れると、食事だけでなく文化展示やステージイベントも合わせて満喫できます。
万博での食事の際のおすすめレストラン
サウジアラビアパビリオン内には、伝統的な料理を楽しめるフルサービスのレストランと、気軽に立ち寄れるフードトラックが複数設置されています。
フルサービスのレストランでは、落ち着いた空間で「王族風カブサ」や「シェフ特製シャワルマ」など豪華なメニューを堪能できます。
シェフが現地で修業を積んだ料理人である場合も多く、その腕前には定評があります。
一方、フードトラックでは、カジュアルにカブサ丼やシャワルマサンド、スパイシーデーツクッキーなどを味わえ、持ち帰りにも便利です。
時間が限られている場合でも、質の高い料理を短時間で楽しめるのが魅力です。両方を体験することで、サウジアラビア料理の奥深さと幅広さを実感できるでしょう。
サウジアラビア料理の調理法
スパイスの使い方と味付けのコツ
サウジアラビア料理の特徴は、数種類のスパイスを絶妙に重ね合わせて使う点にあります。カルダモン、クローブ、シナモン、ターメリック、クミンなどを組み合わせることで、複雑かつ深みのある風味を引き出します。
これらのスパイスは、食材の下ごしらえや炒め物、煮込み料理など、さまざまな場面で使い分けられます。加
熱中にはスパイスを焦がさないように注意し、低温でじっくりと香りを立たせるのがコツです。また、味付けに関しては塩分を控えめにし、スパイスや素材本来の旨味を最大限に引き立てるバランスが重要です。
仕上げにレモン汁やミントなどの香味を加えると、さらに爽やかさが加わり、味の幅が広がります。
新鮮な食材の選び方
本格的なサウジアラビア料理を作るには、素材選びも大切なポイントです。肉は脂身が少なく、鮮度が高く臭みのないものを選ぶことで、スパイスとの相性がよくなり、料理の完成度が上がります。
特に鶏肉やラム肉は、部位によって味わいが異なるため、用途に応じた選び方が求められます。
野菜は可能な限り無農薬や有機栽培のものを選び、水分が豊富でハリのあるものを使うことで、料理の色合いも美しくなります。
スパイスに関しては、市販の粉末ではなくホールの状態で購入し、使う直前に挽くことで香りが格段にアップします。スパイスの保存も大切で、直射日光を避け、密閉容器で保管することにより、鮮度と香りを長く保つことができます。
大阪で楽しむサウジアラビア料理
おすすめのレストラン一覧
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アルカラム(大阪市中央区):本格中東料理で知られる老舗で、現地の味を再現したビリヤニやグリル料理が人気。内装もアラブの雰囲気が漂い、異国情緒を味わえる空間となっています。
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シャルマ(大阪市北区):ジューシーなシャワルマが看板メニューのレストラン。ランチセットではフムスやファラフェルも楽しめるため、初めて中東料理に触れる方にもおすすめです。
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カスバ(心斎橋):アラビアンな雰囲気の中で、ラム肉の煮込みやデーツのデザートなど多彩なメニューを堪能できます。ベリーダンスショーが開催される日もあり、食と文化を一緒に楽しめるスポットです。
大阪での食文化との違い
大阪は、ソース文化や出汁を活かした和食、粉もん(お好み焼き・たこ焼き)など、味付けがしっかりとした料理が中心です。
一方、サウジアラビア料理ではスパイスやハーブを複雑に組み合わせ、香り高く素材の味を引き立てるのが特徴。
そのため、両者の料理は使用する調味料も調理法も異なり、まったく異なる食文化を体験できます。スパイスの奥深さを楽しみたい方にとっては、新たな味覚の扉を開く絶好の機会となるでしょう。
まとめ
万博で出会えるサウジアラビアご飯は、ただの食事ではなく、五感で楽しむ文化体験です。
伝統的な調理法や厳選されたスパイス、地域ごとの特色ある料理は、現地の暮らしや価値観を知るヒントにもなります。
家庭で再現できるレシピや大阪で味わえるお店も参考にしながら、ぜひあなたもこの魅力的な食の世界に触れてみてください。